デジタルテクノロジーを支える放熱素材、窒化アルミニウムと放熱材料評価方法
近年、電子機器の高性能化・小型化が進むにつれ、熱対策の重要性がますます高まっています。
スマートフォン、電気自動車(EV)、高性能産業機器などのデバイスは、動作中に大量の熱を発生させます。この熱が適切に放散されず機器内部にこもると、性能の低下、誤作動、製品寿命の短縮を引き起こす可能性があります。そこで、様々な放熱対策が行われています。
電子機器の放熱対策とThermal Interface Material(TIM)の重要性
電子機器の放熱対策には、ヒートシンク、ファン、液冷システムなど様々な方法がありますが、中でもサーマルインターフェースマテリアル(TIM)は、放熱に重要な役割を果たします。
TIMは、電子機器の内部で発生した不要な熱を効率よく放熱するために部材間に挿入される熱伝導性材料のことを指します。一般的にはIC(集積回路)などの発熱体とヒートスプレッダーやヒートシンクといった放熱部品の間に挿入する形で使用されます。
TIMに含まれる熱伝導フィラーの役割
TIMの主成分は通常、シリコーンやエポキシなどのポリマーですが、これらの樹脂自体は熱伝導率が低いため、単体では十分な放熱性能を発揮できません。そこで、熱伝導フィラーを高濃度で配合することで、TIM全体の熱伝導率を向上させ、効率的に熱を伝達することが可能になります。適切なフィラーの選定や配合設計が、TIMの冷却性能を左右する重要な要素となるのです。
熱伝導フィラーに求められる特性
TIMに含まれるフィラーは、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、炭化ケイ素(SiC)などがあり、以下の特性が求められます。
- 1. 高い熱伝導性
- 放熱対策を効果的に行うためには、熱伝導率が高い材料を選ぶことが不可欠です。
- 2. 電気絶縁性
- 電子機器内部では、電気回路が密集しており、絶縁性の低い材料を使用すると短絡や漏電のリスクがあるため、安全な機器動作を確保するために電気絶縁性が不可欠です。
- 3. 適切な密度
- TIMの用途に応じた適切な密度を持ち、軽量化と放熱効果のバランスを取ることが重要です。
これらの要件を満たす材料として、窒化アルミニウム(AlN)は最適な選択肢です。AlNは、他のフィラーと比較しても高い熱伝導率を持ち、優れた電気絶縁性を備えているため、TIMのフィラーとして広く利用されています。
- 4. 高い充填率
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熱伝導フィラーに求められる高い充填率は、粒子の形状や、粒子径と配合によって大きく左右されます。
- ・ 粒子の形状(球状粒子と多面体粒子)
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粒子の形状には球状と多面体があります。
球状粒子は隙間なく密に充填しやすいため、TIMや放熱樹脂に混ぜたときに高い充填率を実現できます。充填率が高いほど、熱の伝わる経路(ヒートパス)が形成されやすくなり、熱伝導率が向上します。
一方多面体粒子は粒子の接触面積が大きく、高い熱伝導性を発揮し、放熱基板に向いています。
- ・ 粒子径と配合
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球状粒子の樹脂充填イメージ
大粒径(約50–80μm)のフィラーは、フィラー粒径としては大粒子であり、熱伝導率の向上に寄与しますが、粒子間の隙間が多く発生します。一方で、小粒径(約1–10μm)のフィラーは、フィラー粒径としては一般的で、充填性が良く均一なTIMを形成しやすくなります。フィラー同士の接触点が増すほどに熱の伝達経路(ヒートパス)が形成されやすくなります。
そのため、大粒径と小粒径のフィラーを適切に組み合わせ配合することで、高い充填率や流動性等を実現し、TIMの総合的な熱伝導性能を向上させることが可能になります。
- 5. 表面処理の有無
- AlNフィラーは親水性が高いため、疎水性処理(シランカップリングなど)を施すことで樹脂との相性を向上できます。
エポキシ・シリコーンなど、使用するポリマーによって適切な表面処理を選ぶことが重要です。
粒子径MAX80μmの窒化アルミニウムフィラー
当社が取り扱う窒化アルミニウムフィラーは、粒子径MAX80μm、球状粒子の高い充填率で放熱性向上に貢献します。
●特長
- 球状粒子で高い充填率
- 粒子径MAX80μm
- 熱伝導率 170 W/m・K(RT)(焼結体)
- 充填性、耐水性向上のための表面処理品の提供も可能
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TIM放熱性能の評価の課題
高性能なTIMの選定や開発において、材料の放熱特性を正確に測定することは極めて重要です。TIMの性能を最大限に引き出し、電子機器の信頼性を確保するためには、適切な評価が求められます。しかし、TIMの評価方法にはさまざまな課題があります。
- ・ TIMの役割は熱伝導率だけではない
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TIMの性能は、単に熱伝導率だけではなく、薄膜での使用、低い熱抵抗、界面熱抵抗の低減が重要です。高熱伝導率でも厚みがあると熱抵抗が増加し、薄膜で柔軟なTIMの方が放熱性に優れる場合があります。評価では、熱伝導率に加え、熱抵抗や界面熱抵抗を考慮し、実際の使用環境を想定した総合的な評価が必要です。
- ・ ポンプアウト現象の問題
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荷重をかけた状態での測定や長期信頼性における放熱グリスの欠点であるポンプアウト現象の問題などを評価する方法がありませんでした。
- ・ 測定・評価の手法が各社で異なる
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TIM専用の標準規格としてもっとも実用的な測定法で、ASTM D5470-17が規定されています。しかしながら各社公表されている熱伝導率(W/m・K)をそれぞれ違った手法、装置、条件で測定されており、熱伝導率を同列で比較することが難しい現実があります。
ポンプアウト現象や、放熱材料評価方法の課題について 詳細はこちら
TIMの放熱性能評価、サーマルマネジメントに最適
Thermal Interface Material Analyzer TIMA5
これらのTIM評価方法の課題を解決するのがThermal Interface Material Analyzer TIMA5になります。TIMに求められる放熱性能評価の課題を解決します。
- ASTM D5470-17完全準拠
- サンプル厚み1μm~、荷重±1N~自由に制御、モニター
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10、17.5、24.5 ㎜角 Cu、Al
13、24.5Φ Cu、Al
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